【短編】よわ虫kiss



「アヤ、なんで泣いてんの?」


「泣いてないよ。

…寝不足なだけ」


大和の言葉に、すぐに返事を返す。


沈黙を作ると、本当の気持ちが出てきてしまいそうで恐くて…


高鳴る心臓を落ち着かせようと少し大きめに呼吸をした。

…あまり意味を成さなかったけど。


「昨日の話…

『忘れて』とか言ってたけど…あれ、本気で言ってんの?」


落ち着いた大和の声があたしを責めてる。


大和とは何度もケンカしたけど、こんな風に話す大和は初めてだった。


冷静だけど…ううん、冷静だから冷たく感じる声。


あたしはそんな大和に少し苦しくなりながら口を開く。


「本気だよ。

…全部忘れて、新しい彼女…」


「アヤは忘れられんの?

全部…オレとの思い出、全部なかった事にできんのかよ」


あたしの声を遮った大和の声に、少しだけ怒りが見えた。

大和の傷付いた心が見えた。


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