【短編】よわ虫kiss



いつの間にか、大和と同じように右足から履くようになった靴。

そんな自分に小さく苦笑いをこぼしてから、玄関を開けた。


きっと…

きっと、ずっと変わらないんだ。

この癖。

あたしの中に染みこんだ大和の癖。


ずっと…あたしの中に残り続けるんだ。


大和の存在と一緒に…



窓から見ていた通りの眩しい空に目を細めてから、学校までの道のりを歩く。


桜並木の登校路。

今は青い葉っぱが桜の花の代わりに、景色を色づける。


…大和と何度も何百回も通った道。


この道を、後何回歩くんだろう。


ふとそんな事を考えてしまって悲しくなった。


あと…そうだな。

多分、100回はないくらい。


頭の中で計算して数字にしてみたら余計に悲しくなってきて、ぶんぶんと頭を振った。

それなのに、一回考え出したらやたらと数字が出てきたがって…


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