【短編】よわ虫kiss



「…いいよ。転校する」


あたしが少しだけ笑顔を作ると、お父さんがほっとした顔をして笑った。




だって…仕方ないじゃん。

おばあちゃん1人にして、ここに残りたいだなんて…わがままでしょ?




だから、仕方ないじゃん…


大和…


心の中で呼んだ声が、静かに体中に共鳴する。




…それが、2週間ほど前の出来事。













「あ、またあんな囲まれてるよ。アヤの旦那」


友達の早苗が指差す先には廊下を歩く大和の姿があった。

…オプションとして数人の女子。


大和が歩く周りを、数人の女の子が笑顔で囲む。


その光景に、別に胸が痛んだりはしない。


「旦那って(笑)」


あたしは、ははっと笑って視線を早苗に戻す。


大和が女の子連れて歩いてるなんていつもの事だ。


別に目くじら立てるつもりもない。


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