だけど、あたしはこの世に生まれたときから普通じゃなかった。 自覚したのは六歳のときだったけどね。 あれは母と一緒にスーパーに行った帰り。 目の前を血まみれの女の人が歩いていた。 あたしはびっくりして大泣きしたんだ。 そしたらその女の人はぎろりとあたしを睨んで言った。 《早く救急車呼びなさいよ! 私、このままだと死んじゃうじゃない!》 あたしは救急車がなんなのかもわからずに、母の後ろに隠れながら首を横に振っていた。