救急車がマンション前に到着すると、白い担架の上に女の人が乗せられていて、あっという間に人垣ができていった。 そして、腕を掴んでいた女の人はあたしの前からいなくなっていた。 「ユズナが生き霊を視たのよ」 そう母が父に話すのを聞いて、あたしはあれが生き霊なんだとそのとき知った。 それからのあたしの人生は一変した。 ――人に見えないものが視える。 それは生き霊だったり、幽霊だったり、奇妙な姿の化け物だったり。 あたしはそのことをひた隠しにして小学生を終えた。