「金管楽器の先輩たちは大変だったかな。
僕は自分でアレンジした楽譜だから……いい勉強になった」



詩月が言うと、彼らと詩月の会話を聞いていた少年「空」がクスッと笑った。



「詩月さんって、頑張ったなって面と向かって言われるの嫌いな人でしょ!?」



体育会系の遥が言う。



空がハッとした詩月の顔に「あ、赤くなった」ポツリ呟いた。



試写会には大学学長、金管楽器メンバーも関係者ということで参加している。



CM映像が流れ始めると、苦虫を噛み潰したような顔で席に着いていた学長も、みるみる満足気な表情になった。




「ロマンス2番のアレンジ、映像に合わせるとスゴく夏の感じが際立つな」




隣に座っていた金管楽器、トランペット奏者が詩月にこっそり話かけた。