関数のグラフのように正解な放物線を描いた銀貨は、男神像の竪琴の弦を掠り、竪琴のf字孔に巧く吸い込まれた。



「あ!! 入った」



「えっ!? また1発で?」


「どうして、1発で入っちゃうの?

わたしたたち、音楽のミューズ(女神)に見離されてるのかしら」



落ち込んだように言って、詩月に目を向ける。



「もしかして、銀貨を入れた人しか、願い事が叶わない?」


女学生はふるふると首を振る。



「悪いことをしたね。

お詫びに何か1曲……」



「ダメです。ダメダメ」



言い終えないうちに言葉と動きを遮られ、詩月は何故だかわからない。



「銀貨を入れた後は、こちらから先に演奏しちゃダメなんです。

正門の女神像の方で先に演奏しないと……」