安坂は再度、初めから画像を見る。



どう観ても安坂には、いつもと変わらないポーカーフェイスの詩月にしか見えない。



「ローレライ、伝説の他に何か音楽で関係あるのか?」



「伝説以外に……神話とかは伝説とさほど内容は変わらないが」


理久と安坂が話していると、マスターがカウンターを出て盆に2人分の皿を乗せ、2人のテーブルに近づいてきた。



「試作品なんだが、どうだろう?」


テーブルにコトリ置いたのは、ヨーグルトにブルーベリーソースを掛けたシンプルなパンケーキ。



どこにでもある普通のパンケーキだ。



「ヨーグルトは自家製のカスピ海ヨーグルト」



ボソッと自慢する。



「ローレライって言えば、詩人ハイネの詩がある。

それに曲をつけて、歌ったのが各国に広まり有名になって、戯曲まで作られたんだ」