風の詩ーー君に届け

「あなた……バカなの!!

わたし、あなたを半年以上も……」



「指導してくださってるんだろ!?」



妹尾の言葉を遮り、詩月は笑顔で言う。



「指導って……」



「違うの!?」



「!! あなた……バカだわ」



「さっきからバカって、ひどいな。

これでも、聖諒大音楽部の全額免除特待生なんだけど……」



詩月は暢気そうに言いながら、ネコ毛で薄い茶色の髪を掻きあげた。



「いちいち、苛つかせる子ね。

あなたみたいな人は初めて。

半年以上も黙って耐えて……その上、そんな物言いをした人も」



「ああ、お局様って誰かが言ってたっけ」



「お、おつぼね……」



妹尾が目を丸くする。



「大奥の? けど、お局様だって同じ人間。

同じオケの仲間だろ」



詩月はニコリ、アイドルスマイルさながら微笑む。