――ローレライ



変更された曲を弾いたオケの元コンマス。



挑戦的な目が忘れられない。





「見たか? 『週間FACE』」



「見た見た、あいつ大丈夫なのか?」



「何日か休んでたよな。やっぱり、あれって本当なのか」



詩月が席を立とうと、伝票を手に取った時だった。



数人の学生が騒がしく店内に入ってきた。



席につき郁子と話をしている詩月に気付き、声を下げる。




「……周桜くん、耳に入れておいた方がいいと思うの」



郁子が躊躇いながらテーブルの上にそっと、広げた雑誌を置く。



「週刊誌なんて三流記事しか載ってないだろう!?」




「よく見て」



郁子が上目遣いで、申し訳なさそうに詩月に言う。



詩月は広げられた週刊誌のページを、億劫そうに見る。



ページの見出しを見て、詩月の顔が強張る。