「発売日に完売だったらしいの。

ボスターを持っていった子達が嘆いてたのに、こんないい席なんて」



「……それは、Xceon(エクシオン)のリーダーから直にもらったんだ」




「役得ね」



「ああ、そうだな。

当日は楽屋へ、挨拶に行くつもりだ……来るか?」



「いいの?」



「ダメだとは言わないだろ?

ペア券をくれたんだから」



郁子がチケットをマジマジと見る。



「あら!? 七夕なのね」



「七夕に聴きたい曲があるって言ってたのに、アイドルグループでいいのか?」



「覚えてたの?」



「まあ……二胡までは弾けないからな」



「周桜くんコラボしてるグループのコンサートなら、楽しめそう」



「そうか。Jupiterはオケのコンサートでも弾く曲だし、七夕には遅れてしまうがその時に」



言いながら、詩月は倒れた日のことを思い出した。