「詩月、今日はゆっくり休めよ。

明日は朝からだからな」





理久がモニターの画面を見ながら言う。




「難しい処置じゃない。

あっという間に終わっちまう」



僕は、ただ頷く。



実際、1時間もかからない手術だ。



悩んで拒んできたことが、あっという間に終わっている。


なんて言われて、ハイそうですかと納得などできない。




でも、「選択肢」はないんだっていうことが、悔しい。




「……緒方には……知られたくない」




たまらなくなって、涙が零れた。



安坂さんが柔らかく微笑みながら、頬の涙を指で拭う。



理久が舌打ちをし、「莫迦」と小さく溢した。