突然、アキの部屋から明かりが漏れて、物音がし始める。
どうやらわたしが思案に沈んでいた間に部屋に戻って来てしまったらしい。
……嫌な予感がする。
アキが鍵を開けてベランダに出て来たのと、わたしがその場にしゃがみこんだのはほぼ同時。
なんとかバレないうちに彼の死角へと入りこめた。
危機一髪のところで顔を合わせずに済んだけれど……どうしよう。
これじゃ、逃げられないわ。
ここにいたことが知られてでも、どうせ少しのことなんだから部屋に戻るべきだったのに。
ベランダを背もたれにして様子を伺う。
呼吸を浅くしながら、ドキドキという心臓の音がやけに耳についていた。

