気を紛らわせるための勉強も、読書も、なんの役にも立ちやしない。
ため息ひとつ零して、そっとカーテンの隙間からベランダを覗く。
……アキの部屋には明かりがついていない。
久しぶりと感じるベランダ。
今日はここ最近では珍しい涼しげな夜で、風がわたしの髪を弄んでいった。
夏休みに入ってから、アキはよく出かけているみたい。
長期休みともなれば、多くの人に誘われるのね。
夏らしい爽やかな服装。
少し気怠げなところはあっても、友だちに会うため、出かけて行くところを見た。
きっと清水さんとも友だちとして出かけているに違いない。
……こうやって見るだけになるのかしら。
清水さんと付き合っていると勘違いしていた頃より遠いこの距離。
嫌だと確かにこの胸が叫んでいるのに、わたしはもう自分からは動けそうにない。

