ベランダ越しの片想い





わたしの告白に驚かないで欲しかった。

声も出せなくなんてならないで欲しかった。

全身で有り得ないって言わないで欲しかった。



彼がしたことは、わたしの胸を痛めること。



だけど。



笑わないでくれて。

困らないでくれて。

拒否しないでくれて。

すごく……すごく。嬉しかった。



苦しくて、幸せで。

今の自分の気持ちがよくわからない。



痛い、痛い。だけど甘い。

ふんわり優しかったシフォンケーキみたいで、おなかにずっしりと違和感をもたらした抹茶パフェみたいで。



わたしは落ち着くことがないまま、自分の感情を持て余し、ただ枕を濡らしていく。



……もうそばにはいられない。

確かに隣にいたのに、それさえも無理なの。






ベランダ越しの片想い。

ベランダから逃げたなら、片想いさえもできないの。






だからもう、お別れ。

本当になにもかも失っていく。






だってわたしの『好き』は……そういうことだから。