ベランダ越しの片想い









その日は、いつも通りの朝だった。

ノリでパリパリの真新しい一年生の制服を目をした入学式から一週間ほど過ぎた、そんなある日の教室。



「か、川崎くん、おはようっ」

「お、咲良! はよー」



毎朝恒例の見せつけるような挨拶。

はにかむ清水さんと嬉しそうなアキ。

珍しいことと言えば清水さんから声をかけたことくらいで、わたしはそっと目を逸らした。



自分の席に着いて、教科書を机に入れていたけれど、



「昨日はどうなった?」

「おかげさまで……付き合うことになったよ」

「うん……うん、そっか。仲よく、な」

「本当にありがとう」



聞こえてきた会話の違和感に顔を上げる。

胸の奥がドクン、と嫌な音を立てた。