ベランダ越しの片想い









「はぁ……」



お風呂上がりの濡れた髪をタオルで拭きながら階段を上がる。



清水さんカップルとお茶をする羽目になった後、話を断ち切るためにわたしは彼女をお手洗いに連れ出した。

と言ってもなにを話すでもなく普通に済ませて戻ったんだけれど。



そして、溶けてしまったパフェをそのままに帰ることにした。



ふたりに会うまでの時間が嘘みたいに静かで重い帰り道だった。



これといった出来事もなかったかのように、課題を済ませてご飯も食べて。

そしてきっと今頃は、ベランダでひとり落ちこんでいるの。



カラカラ、と控えめな音をさせながら自分の部屋からベランダに出て、後ろ手に閉める。



しばし視線が合わさった彼から自然に目を逸らす。

首からかかるタオルは湿っているのに、髪はすっかり乾いている。



……どれだけここにいるのかしら。