ベランダ越しの片想い









「おはよう」

「……日曜日の朝8時にわざわざどうした?」

「シフォンケーキ焼いたの。
持って来たから一緒に食べよう」



プレーン味、好きでしょう? と玄関先で言って皿に乗せた冷ましたてのワンホールケーキを見せる。

扉にもたれていたアキは「まったく……」と文句を口にし、わざとらしいため息を見せつけながらも入るよう促してくれて。

だけどきっと、このシフォンケーキがなくても家に入れてくれた。



わたしは自分のノースリーブのブラウスがひらひらと揺れるのを感じながら、なんだかんだで優しいわよねぇと小さく笑う。

なんで笑ってんの、と言いたげなアキになにもない風を装って廊下を進んだ。