いつしか、桜様が外に出ている間に、 部屋を掃除するのが、大樹の習慣になっていました。 「大樹。蝶になってくる。」 「行ってらっしゃいませ。今日も掃除、 しておきますね。」 「ありがとう。……しても意味ないけど。」 ぼそりと言った最後の言葉は、大樹には聞こえませんでした。 大樹は、それより、桜様の言葉が、いつもより重かったほうが、気になったからでした。