ぱちっと目が合ったユキセンセは、全く動く気配がない。
なんとなくその微妙な間が気まずくなったわたしが話を振ると、ユキセンセは目を丸くした。それからなんだか嬉しそうにその目を細めて、大きく頷いた。


「入る……!」


キラキラとしてるのは、木漏れ日じゃなくて彼の顔だ。
本当、不思議な人……。

なぜか、そこからはわたしが先導するように一歩前を歩き、建物の中に足を踏み入れる。

重い扉を押し開けようとしたら、ユキセンセの大きな手が手伝ってくれた。


「う、わ」


――――想像以上。

礼拝堂っていうのかな。この空間はすごく厳かで。
アーチ状の天井の向こう側に見える、ステンドグラスが陽射しに透かされて神秘的。足元にはいわゆるバージンロードを華やかにしてる白いバラとかすみそう。


足元から天井――360度、全てに目を奪われてしまう。
口を半開きにして間抜けな顔をして、瞬きも忘れたわたしは圧倒されっぱなし。


「神様に、誓うよ」


完全無防備状態のそのわたしの耳に、不意に届いた声。


「おれが好きなのは、あんただけだ」


――――なっ……に、を?!

「好き」?! スキってなに?! 急に!
そんなことを突然言われても――。


目を見開いて、勢いよく振り向くとそこには真剣な眼差しを向けるユキセンセが立っていて。
メガネ越しの真っ直ぐな瞳に捕まったわたしは、身動きも出来ずにようやく息をしていた。