それにしても、教会なんて、来る機会ないから圧倒されちゃう。
きっとあと数年すれば、周りの子たちがこういうところで結婚式を上げたりするんだろうな。


結婚式の想像に、自分を重ねるなんてことは出来るはずもなくて、近しい存在のメグで想像してしまう。
メグは普段から華やかだし、違和感なく想像しやすい。

花婿さんは……カズくん? うーん……でも、ふたりはまだ別に恋人同士でもなく、幼なじみのままだし。
ああ、それなら背も高くて絵になるユキセンセが――――。


「ミキちゃん?」


見上げていた顔を慌てて下げると、不思議そうな顔でわたしを見るユキセンセが立っていた。


「はっ、はい!」


勝手に想像に使ってしまったことに、罪悪感のようなものを感じて肩を竦める。
でも当然、ユキセンセにそんなことはわかるはずもなくて、ただただ首を傾げてるだけ。


「あー……と、すごい、素敵なとこですね……」
「あ。やっぱり女の子はこういうとこ好き?」
「え? はぁ、たぶん」
「そっか。じゃあ澤井(さわい)さんの言うことは本当なんだ」


「澤井さん」??


『はて、誰だろう』と今度はわたしが首を傾げると、そんなわたしに気付かないユキセンセは、なぜか動かずにそこに立ったまま一人でぶつぶつと言っている。


「でも、だったら澤井さんが取材してくれてもよかったのになー。『自分で行って』なんて、酷なこと言うんだからなー」


顎に手をあてて、少し口を尖らせるユキセンセ。そんな彼を盗み見ると、さっきしていた想像の続きが簡単に出来ちゃうような容姿だ。

ただでさえ、異性とふたりで出掛けるなんて全くないわけで、しかも、その相手がまさかまだ知り合って間もない漫画家さんだなんて予想も出来たはずもなく。

さらに――――。