クラッシュ・ラブ


けど、接続詞を口にしたあと、待てど暮らせどそれに続く声が出てこなくて。
不自然なほどの間に、疑問に思ったわたしは我慢できずに目を開け、顔を上げた。


「…………神様に、誓う。オレが好きなのは、美希――――きみだけだ」


メガネの奥で、少し照れたように目を細めた雪生が、確かにそう言った。
そしてもちろん――いや、雪生以上に。顔を真っ赤にさせてるのはわたしの方だ。


「……えっ、ゆ、雪生……? そ、れ……」


一度、似た言葉を聞いた記憶がある。
それはあの教会で、わたしに向けられた言葉ではなかった。だけど、その常識離れした甘いセリフに、ドキドキとさせられた。

その言葉(セリフ)……今回は――――本当にわたしに向けて……?


「……クサかった? やっぱり、漫画と現実は違うよね」
「もっ……」
「え?」


恥ずかしさを隠すように、わざとメガネを抑えるフリして手で覆った雪生。わたしは彼のTシャツを、きゅっと握って懇願した。


「もう一度、言ってください……!」


涙を浮かべたわたしをメガネの奥の瞳に映すと、雪生は心底驚いた顔をしてた。
それから、覚悟を決めたような目つきになった彼が希望を叶えてくれる。


「美希だけ。……愛してるよ」


ギュウッと背中に手を回すと、それに応えてくれるようにわたしもきつく抱きしめられる。
息苦しいほどの力が、うれし涙を流させる。
その腕の力を緩めると、呼応するように向こうも力を緩め、お互いに見つめ合う。

そして、このとき。わたしは初めて、自ら背伸びをした。

――――彼の唇に触れるために。