ひとりで感動をしている間に、雪生はカサカサと何通かの手紙に目を通しているようで。
その手紙に書かれている内容は、当然見えやしなくて。さらに雪生の表情も、全く読み取れなくてさっぱりだ。
「だから、な? ユキも、そー目くじら立てて、怒るなよ」
「……別に、目くじら立ててまで……」
――あぁ、もしかして。わたしに言ったことで、雪生は澤井さんに掴みかかったのかな。
澤井さんが大人で、理解力のある人で良かった。そうじゃなかったら、今頃仕事にも思い切り響いてたよね、きっと。
『そんなことで、怒らなくてよかったのに』という思いと、『でも、ちょっとうれしい』というなんとも自分勝手な感情が湧いて、嬉し笑いを零してしまう。
「それじゃあ、お暇するとしようか。これ以上長居したら、ユキ怖そうだし」
「……キレキャラにするなよ」
「新境地だからなー! しばらくこのネタで弄っちゃいそう――って、あれ? なんか落ちてるぞ」
雪生と会話をしながらリビングを出ようとした澤井さんが、足元になにかを見つけたようで身を屈めた。
小さいカードのようなものを拾い上げたあとに、目を丸くして振り返る。
「この定期――え? アキさん? もう来てたの?」
「……すぐ帰った」
正確には、雪生が強く言って、帰ってもらってたんだけど……。
近くにいた雪生は、ファンレターで両手が塞がっていて。それを察した澤井さんは、雪生に話をしながら、その定期をわたしに預けた。
そして、その定期の名前をみて驚いた。
「なんだかんだ、一回くらいしか直接会ってない気がするんだよなー。どことなく雰囲気ユキと似てない? ま、喋ったら全然だけど。
ほら、名前もだし。“生まれる”って字」



