「えぇ?! なにその話! ハッピーエンドじゃないわけ?!」


夏休みが終わる直前。
メグとカフェでランチをしながらする話題はと言えば、そりゃわたしと雪生の話に決まってる……。

メグには結局直前でバイト代わってもらったし、ずっと浮かれた話なんかなかったわたしに彼が出来たものだから。


「この前そんな話ひとこともしなかったじゃない!」
「この間は……話すことありすぎたから……」
「そうはいっても、その『アキ』って人? すごい気になるじゃない!」


……そうなんだけど。

初めにその名前を聞いたのはカズくんの口から。それから、杏里ちゃんからまたその名を聞いて。だけど、雪生からは一度も聞いてない……はず。

隠してるような素振りもないから、ただの思い過ごしだと思うんだけど……。


『所詮、アキって人の代わりなのよ、あなたは!』。


そう言い放たれた言葉が、嫌でも記憶から拭えなくて。


「聞けばいいじゃない。浮気とか、二股とか、そういう感じではないんでしょ?」
「うん。それは違う……と、思う」
「もう! 自信持って言いなさいよっ! そういうのは! もしそういう類だったら……」


低い声で目を光らせるメグに、わたしが寒気を感じる。


「だ! 大丈夫だから! ただ、客観的に、ね? どういうふうに思うのかな、って聞いてみたの」
「でも、ミキのことだから。すぐにストレートになんか聞けやしないじゃない」
「う……」