『……ちょっとミキ!』
「はっはい!」
『私なんかより、夏を満喫してるんじゃない!』


……え? そういう反応?
拍子抜けしたけど、まぁこういうのがメグか、とどこかで納得してしまった。


『いや、ごめん。そんないい話だけじゃなかったね! その杏里? って子ムカツクわぁー!』
「でも、そのことはもう別に良くて」
『“気になるのはカレの仕事だけ”。でしょ?』


“わかってるよ”と言った口調で言われると、返事も忘れて閉口してしまう。
なんか、“彼氏命”に似たように聞こえてしまって恥ずかしい。


『私ならすぐにでも会いに行くけど、締切とか? なんかよくわかんないけど影響するみたいだし、ミキは私みたいなタイプじゃないしね!』
「……なんか、ごめん」
『え? なに謝ってるの! 褒めてんの!』
「え?」
『そういう、どんな状況でも相手のことを一番に考えるようなミキを』


そういえば、メグはいつでもわたしを認めてくれていた。
メグの言うことはお世辞じゃなくて、本当にそう思ってくれての言葉なんだとは理解していた。


『そりゃ確かにね? “もう! 不器用だなぁっ”とかって思うこともあるけどね? でも、そういうところがミキのいいところ』


けど、やっぱり自分ではなかなか理解しがたいもので、いつも素直に受け止めきれなかった。
それよりも、隣にいるメグの眩しいところばかりに目が行って、自分の光るものなんか霞んで見落としてしまっていたんだと思う。