「3日後からの約3日間が、最後のバイトなの。その最後だけ、メグが行くことって出来ない……?」
『えっ? ミキ、なんかあったの?』
「――――う……ん、ちょっと家の用事が」
『ウソ』


「なんかあったの?」って言われて、つい、今すぐにありのままを話すべきかどうか迷ってしまった。その微妙な間が、勘のいいメグにはすぐに気付かれて否定されてしまう。
図星をつかれたわたしは、切り返す頭も働かなくて。


『ねぇ。そんなに私は信用ない? そりゃあさ! 私はバカだし、相談事なんかに役立てる答えも出せないかもしれないけど!』


その間にも、メグはどんどんと言葉を連ねる。


『って、元々そのバイト、私が押し付けたも同然なのに、なにを偉そうにって話よね。あ、大丈夫だよ。最後のバイト、私が行く』
「メグ……」
『だから、ちゃんと話して?』


一瞬でも迷って、判断を誤った自分が情けない。
『よし、変わろう』って意気込んでも、早々自分という人間を変えられることなんか出来なくて。

雪生とのことにきちんと向き合うなら、メグに対してだって、なんにだって。拙い言葉になっても、一所懸命に伝えるべきだ。
推敲して綺麗な言葉を並べるよりも、もしかしたらその方が“わたし”という人間を知ってもらえるいい機会なのかもしれない。


「ごめん……ごめんね。わたし、メグのことそんなふうに思ってない。……それに、今回のバイトの件も、お礼を言わなきゃならないくらい……」
『「お礼」?? なに、それ』
「実は、ね……」


きっと、わかりづらいわたしの説明に、メグは横やりを入れることなく話を聞いてくれて。

雪生のことが好きになったこと。そして、その想いが通じ合ったこと。杏里ちゃんや外崎さん、澤井さんとの出来事を、上手く伝わったかはわからないけどとにかく経緯を口にした。