「……と、いうことで、この状況なワケ」
「ゆっ、ユキセンセと?! ミキちゃんが?! ままま、マジッすか!」


カズの反応があまりに予想通りだ。
だから、そのカズをスル―して、オレの矛先は澤井さんに。


「澤井さんの言い方じゃあ、彼女が“原因”で仕事に支障が出てるって思われる!」
「だって、事実だろ?」
「――――だとしても、彼女には関係ないことなのにっ」
「そうか? よーく考えろ、ユキ。『関係ない』と事実を伏せて、そのまま改善されないで彼女が自分の責任だと気づいた場合。二重に傷つくのはわかるよなぁ?」


悔しいけど、言い返す言葉が見つからなくて閉口した。
今でも、美希に“責任”があるとか思ってないけど。それでも、美希はそう感じてしまうことに変わりはないと思うから。

オレが『違う』と何度言っても、おそらく自分を責める傾向にある人間だと、わかるから。


「だったら、現状を把握してもらって、彼女にも協力してもらうのが一番だろ。だから俺はそういうニュアンスで伝えたつもりだし」
「でも、先にオレに言ってくれれば……!!」
「どっちでも同じだろ? 別に“ユキと別れろ”なんてことも言ってない」
「そんなことっ……もし、言ってたら――!」


「言ってない」と説明してるのに、熱が上がったオレの頭は全く使い物にならなくて。
“もし”のことですら、冷静で居られなくなって、体が勝手に澤井さんの襟をまた掴んでいた。