肩で息をしながら、そのアパート名とメモを見比べて、間違いないと確認する。ひとつ大きな呼吸をしたのちに、その扉に手を掛けた。


202……ここか。


階段を昇り終え、すぐに該当する場所を当てると、躊躇うことなくインターホンを押した。
ピンポン、と一度鳴るも、すぐに出てくる気配がない。
大人しく待ってなんかられないオレは、2度も3度も連続でインターホンを押し続ける。


まさか、いない? だとしたら、外崎と美希は一緒にいるのか?
一体、二人でどこに――――。


口元を手で抑えて、美希の居場所を懸命に模索する。
そのとき、カチャ、と解錠する音が聞こえ、目の前のドアが僅かに開いた。


「――――うるさいな」
「美希はっ」


眉間に軽く皺をよせながら出た外崎なんか、どうでもいい。
肝心の彼女は本当にこの奥にいるのかと、身を乗り出し外崎を押しやる。


「おい! 不法侵入っ」
「美希!」


靴を脱ぎ捨て、勝手に上がり込むオレの後を外崎が追ってくる。

玄関には、青いスニーカーがあった。あれは間違いなく……。


「――――ゆ、き……?」