「――――え。来客って、女の子?!」
「そんなにびっくりしなくても」
「そう言われたら、玄関のスニーカー。オトコにしてはちっちゃいもんな! へぇ。リョウの彼女サン??」


外崎さんも背の高い人だと思ったけど。でも、その外崎さんよりもほんの少し背の高い、スーツを纏った男の人。

二人の会話の雰囲気や、今、ここに来た人を見ると、どうやらわたしの想像していたことにはならなそう。

……よ、よかった……。

ほぅっと深い安堵の息を吐くのも束の間。
外崎さんが、わたしの横に来て、突然肩を抱く。


「カノジョ」
「えっ」


なにを言うの! ほんと、この人、やっぱりちょっと危ない人かも!

思い切り驚いて、横顔を見る。でも、『なにか?』っていうような、すました顔をしてるもんだから。あまりの行動に、出す言葉も見つからなくて。


「……違うな」


わたしと外崎さんとを交互に見終えたあとに、その歳上であろう男の人が顎に手を添えて言う。


「やーっぱ、澤井さんには通用しないか」
「いや、誰にも通用しないんじゃない? 明らかに不自然。特に、そのコのお前に対するオーラが」
「一人だけ、この冗談が通じないヤツがいると思うんだけどね」


な、なに?! その「冗談通じないヤツ」って、もしかして雪生のこといってる?
ていうか、この人が……『澤井さん』!!

ずっと名前しか聞いてなかった、雪生の“担当さん”が目の前に居る。っていうことは、外崎さんの担当さんも、同じ澤井さん、ってこと?