「ここ」
ご丁寧に、今度は開いて渡してくれたその見開きに視線を向ける。
「あ!」
そこには、見覚えのある名前――『春野ユキ』を見つけた。
なに? このページ。えーと……あ、まだ、プロじゃない人が描いたものの結果発表みたいな?!
うわ。雪生、すごい! 上から数えて3番目に載ってるし!
へーえ! 15歳……? え?! じゃあ、もしかして、コレで?
若かりし頃の雪生を感じて、ひとりで楽しんでいると、ぬっと骨張った男の人の指が伸びてきた。
その指が示す箇所に、自然と視線を映すと、そこにも聞き覚えのある名前。
『外崎リョウ』。
「……え?!」
思わず目の前のご本人を直視すると、外崎さんは誌面を見たまま。
だから、わたしもなんとなくまた手元に視線を落とした。
……東京都、19歳。じゃあ、雪生の4つ上なんだ、外崎さんって。
ていうか、さらりと見た感じ、やっぱり雪生と同じ歳の人なんかいない。これって、相当すごいよね……? というか、外崎さんの19歳っていうのも若い方の気がする。
小さく掲載されてる絵と、タイトルと名前の横に、細々(こまごま)と連ねられている文字。
元々あまり本自体読む習慣のないわたしは、全然頭に入ってこなくて。けど、雪生のとこだけ、じっくり目を通してしまうあたり、相当彼の存在が大きいのだな、と認識させられる。
へー。やっぱり褒められてる……あ、でも、『ストーリーにひと工夫を』だって。『女性キャラをもっと研究して』とも描いてる。この前の単行本見たときには、なんにも感じなかったけどな。あ、この頃と今とは違うのか。うーん、奥が深い……。
「……? でも、なんでこれを」
はた、と本題を思い出す。
ページをそのままに顔を上げると、外崎さんは何とも言えない……読み取れない表情で。