クラッシュ・ラブ


「……元々、小さい頃から、表現が下手だったんだろうけど。高校くらいになったら、そういう意味で周りから浮いてたような、取り残されてたような……まぁ、こういう仕事してたら仕方ない話かも」
「え? ユキセンセって、いつから漫画家に――」
「オレ? 15」
「じゅっ……!?」


じゅうご?! 15って、中三だっけ?!
ていうか、弟の純と同じ歳じゃない! 純なんて、色気づいて携帯ばっか弄って、受験生だっていうのに勉強してるんだかしてないんだか……って、それは置いといて!


「す、すごい……」
「んー……でも、最近では結構多くなってきたみたいだよ? ま、運が良かったっていうかね」
「運?!」


そんなワケないじゃないですか! いや、でも、ホント。居るんだ、こういう人!


「ガッコ行きながらだし、その頃は駆けだしだったし。でも、やっぱり余裕はないから親友もいないし」
「親友……」
「でも、クラスでね? マンガ持ってきてるヤツとか普通にいてさ。それで盛り上がってるクラスメイトが、全然喋ったことない相手でも、オレ、つい割り込んでいっちゃったりして」


頭の後ろで手を組みながら、窓の外――ううん、それより、もっと遠くを見ながらユキセンセは語り続ける。


「後先考えられなかった、っていうか……順番が間違ってるっていうか……」


笑ってる横顔が、少し、淋しそうにわたしは見えた。


「あ。別にイジメられてたとか、そういうのはないよ?」


きゅう、と心が切ない音を上げた。
そして、わたしは気のきいた言葉のひとつやふたつも言えず、こくり、と頷くだけ。