「俺、お前の事尊敬してるけど」

「悠が?」


それは知らなかった。

俺よりも大人な、悠が。

何で、俺なんかを尊敬しているのか全然分からない。


小さい頃から可愛いと言われてきた。

その頃は、まだ俺も幼稚園児だったから嬉しかったんだ。


それが次第に、中学生になると、"可愛い"は褒め言葉にはならない。

俺の心の中は複雑だったんだ……


みんな可愛いと言って集まって来る。

でも、それは顔だけしか見てくれてないって事で嬉しくはなかった。


そんな中、怜先輩だけが見た目で判断なんかしなかった。

初めて会ったあの日、騒ぐ事なく、ただお金を貸してくれたんだ。


――俺の、初恋。


「素直に感情を表に出すところとか特に、な。」

「素直なのかなぁ?」


怜先輩は、もしかしたら俺の事をうざがってるかもしれないよ?