娘は、ケガを負って動けずにいた。
それを白タヌキが哀れに思い、勇敢にも近づいて、助けてやったのだ。
娘は白タヌキの優しさと、勇気と、あまりの美しさにすっかり心奪われて・・・
「どうか私をあなたのお嫁さんにしてください、と熱心に頼み込んだのである」
「それウソでしょっ!? 絶ー対うそっ!!」
どこの物好きが、よりによってタヌキ相手に恋愛感情もつのよ!?
どんだけ自分の人生捨ててんのよ! その娘!
「白タヌキは、身寄りもない娘を哀れに思い、結婚を受け入れた」
「だから! 身寄りないからってタヌキと結婚しようとは誰も考えないって! 普通!」
「その年は不作のため、一族にはたくさんの餓死者が出ていた。だがなんと、ふたりの婚礼の日に・・・」
タヌキ王は一族の方をクルッと振り返り、大きな身振りで熱弁する。
「山中の全ての木々に花が咲き誇り、たった一晩で豊かに実ったのである!」
わーわーわー!
奇跡だ! 奇跡が起きたんだ!
「そうだ、まさに天の祝福! 白タヌキと人間の娘が起こした愛の奇跡である!」
わーわーわー!
白タヌキばんざい! 愛の奇跡ばんざあーい!
ポンポン! ポポポーンッ!
・・・・・・
もう、いいや。
勝手に愛のミラクルでもセレブレーションでも、やってて。
もうこの、体長60センチ集団の狂乱にはついていけない・・・。


