タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「・・・って、あんたの名前?」


「名ではなく地位である。私は、先代のおタヌキ大王の後を継ぎ、王となった」


「・・・・・・」


「ちなみに、そのひとつ前の先代は、おタヌキ大・大王である」


「・・・・・・」


「さらにそのひとつ前は、おタヌキ大・大・大・・・」


「あーもーいい。分かったから話を進めて」


おタヌキ王は、声援を浴びて切り株からスクッと立ち上がる。


そしてキリリッ! と顔を上げ、ひときわ朗々と声を張り上げた。


「純白のタヌキ、生まれいずるその時・・・その者、伝説の騎士となりて、一族を平和と安寧に導かん!!」


わーわーわーっ!!

おタヌキ王様あー!!

栄光のたぬき一族、ばんざあーい!!


タヌキたちは一斉に歓声を上げ、お腹をポンポン叩いて大騒ぎをし始めた。


タヌキ王は満足そうに皆に手を振って、それに応えている。


・・・・・・・・・・・・

あの、あたし、この場で笑っていいですか?


本人たちは真剣なんだろうけれど。


やればやるほど大きく空回りしている事実を、あたしは告げるべきなんだろうか・・・。


「言い伝えでは、はるか昔、この山に一匹の勇敢な白タヌキが住んでいた」


こっちの複雑な心境を完全無視で、タヌキ王は語り続ける。


「そしてこの山に、ひとりの人間の娘が迷い込んできた・・・」