……は、え?
なになに、どーなってんの。

どうしてか体が動かなくて固まっていると、頭上から部長と柚木くんの会話が聞こえた。

「何してるって……え?」

「女子(おなご)に手をあげるなど不届き千万!!成敗してくれようか!」

「!?」

至近距離で声が聞こえてやっとわかった。これは柚木くんの腕だ。これはあれだ、ハグというやつだ。会話を聞く限り、そんな甘ったるい空気は微塵もないけれど。

しかもおなごって。今時お年寄りだって使いそうにないよ柚木くん。

「いやいや、ちょっとふざけてかるーく……」

「暴力に軽いも重いもあると思うな」


口調から察するに、柚木くんはかなり怒っているみたいだった。もしかして部長のパンチから守ってくれたんだろうか。それにしても過剰反応だ。
だけどそろそろ息が苦しい。