振り返ると、そこにいたのは部長だった。
部長の器であるかはともかく、新聞部員全員で厳選なるくじ引きの中決まった立派な部長だ。
先輩として尊敬できるかは……敢えて伏せておく。

「進んでるか、インタビュー」

「や、今ちょうど取材中ですよ」

そう答えると、部長はきょとっと首を傾げた。当たり前だ。今中庭には私以外誰もいなくて、とてもインタビューの最中だとは思えない。

「おっまえ自分の番回ってきたのが面倒なのはわかるけどなー。記事がないと印刷できねーだろ」

「いや、だからあの木のてっぺんに……」

二人で木を見上げたけれど、さっきまで物騒な台詞ばかり放っていた柚木くんはだんまりを決め込んでいる。くそぅ、白々しい。

「おい渋川ー、言い訳も大概にしろっての」

口を尖らせながら部長のかるーいパンチが飛んできたところで、私の視界が真っ暗になった。



「……おい。貴様、何をしている」