「ゆーのーきーくーーーん」

お昼休み、中庭にて。


「柚木くんってばーーーー」

これは一体どうしたことでしょう。
なんでこんなことをしなければいけないのでしょう。


「ゆーーーーのーーーーきーーーーくーんーーー」

張り上げる声ももうじき枯れてしまいそう。
どうして私はずっと木に向かってしゃべりかけているのでしょう。

ため息をついたところで、

「やかましいぞ」

木のてっぺん、葉が生い茂っている辺りから低くくぐもった声が聞こえる。

「おぉ、やっと返事が返ってきた……」

「そのように連呼せずとも声は聞こえている」

「じゃあなんで返事してくれないの」

「無視しているだけだとなぜ理解せぬのだ」