◇◇◇


「いっくぞぉー」


脱力しきった声がした。


「「「ぅおぉおおおおおおお!」」」


それを合図に、一斉に男臭い声と男臭い匂いが漂う。


「な、なな…」

「…げ」


ぎゅう、と千晶に抱き締められる。



「お前らちょっと一日消えてろー?」



千晶の新しい寮の部屋に勝手に入ってきた異物にビビる。

まだなんにも入れていない部屋に、大量の男たち。



「あんたらの“壁”を壊してやんよ」



にや、と妖しく笑う。


俺らが高校に合格、入学し――引っ越して1時間経った時の事だった。