月隠れの庭

鬱蒼と茂る木々を駆け抜け、2人は目的の場所に辿り着く。

蔵の戸は開いていた。


「!!」


流星は1歩中に足を踏み入れ、その光景に大きく息を呑んだ。


蔵の中がメチャクチャに荒らされていたのだ。


足の踏み場もないくらい、高く積み上げられていた古い行李や桐箱等が床に散乱している。


「どこだ、尚人。返事をしろっ!」


流星はそれらを掻き分けながら、呼びかけた。


「尚人っ」


「尚人くん!!」


正成も目の前の惨事に焦りを感じたようだ。

流星の後をついて、尚人を探し始めた。

「何が無事に帰って来るから心配するなだよっ」

「こんなはずじゃなかったんだがな…」

正成は首を傾げながら、手拭いを巻いた頭を掻く。


「オレは2度と坊主の堪なんて信じねーからな」


流星はギッと父親を睨みつけた。