月隠れの庭

「やっぱりオレ、ちょっと様子を見に行って…」

「流星、止めとけ」

彼の言葉を遮り、正成はキッパリと言った。

「人鬼は尚人くん1人を呼んだんだ。部外者が近くまで足を踏み入れれば、必ずバレる。お前が約束を破ったと彼が知れば、怒るだろうなぁ…」


「ぐっ…」


的を射ている父親の言葉に、流星は黙り込むしかない。

悔しそうな表情を浮かべると、ドカッと畳の上に胡座をかいた。

「あまり心配ばかりしてると、今にハゲるぞ」

キラリ、正成の頭部から眩しい後光が差すのを見て、


「………親父にだけは、言われたかねーよ…」


流星は仏頂面で答えると、手付かずのぬるくなった麦茶を一気に飲み干した。