月隠れの庭

      ☆

「その話を聞く限り、正恵さんは人鬼の封印を解く人間がこの場所にいずれ来るだろう…そう予言していたって事?」

尚人は手記の内容を知って、愕然とする。

「…みたいだな。でもあくまでこれは予言であって、曾祖父に導かれたとオレは思いたくない」

全て偶然である、と。

幽霊探しをしようと言い出した自分も、たまたまここを通りかかった尚人も、あれは気紛れな子供の些細な思いつきだった、と。

この事件が必然だったとは考えたくなかった。


《それが私とあの者の約束だったからな…》


尚人の前に姿を現した時、意味深に呟いた人鬼の言葉が彼の心に蘇る。

「人鬼が交わした約束って、この事だったんだ…」

尚人は意味を理解した。

「この手記を読む限り、むやみやたらと襲いかかってくるって感じはしないな…」

正恵との会話のやり取りの様子からは、そんな印象を受ける。