月隠れの庭

その心からの笑顔を見て、もっと早くに出会えていたら自分の中の何かが変わっていたかもしれない…人鬼は初めてそう思った。

会ったばかりの僧侶に、これほど心動かされるとは誰も予想しなかったに違いない。


《おかしな人間だ》


「人鬼がそれを言うか?」


《確かにな…お前、名は何と言う》


今度は反対に、人鬼が尋ねた。

「正恵だ。正しい恵みと書く」


《正恵か…………我は恒靖(つねやす)………》


「そうか…お前は生前、恒靖と言う名だったのだな」

良い名だ、正恵は微笑んだ。