「お前はなぜ、罪もない村人を襲う?何をそんなに渇望しているのだ…」
正恵は目の前に立っている、人鬼に問うた。
鬼の両手は血にまみれている。
足元には夥(おびただ)しい血だまりと、性別が判断できない程に引き裂かれた肉片。
(もう少し早く現れたのが分かっていれば、この人の命を救えたかも知れぬのに…)
正恵は心の中で静かに悔いた。
全国を行脚していた彼の耳に『鬼が暴れている』との噂を耳にしたのは、つい先日訪れた村での事だった。
黒い体に灰色の目をした成仏できぬ鬼が、隣の村で人を襲っては喰らっていると言うのだ。
気になった正恵はその村に足を運び、そしてその十日後に噂の人鬼と遭遇したのだった。
《何もない…無だからこそ、我はこの手を血に染めるのだ》
「そうか、お前は寂しいのだな…」
答えを聞いた彼は、哀れむように呟いた。
正恵は目の前に立っている、人鬼に問うた。
鬼の両手は血にまみれている。
足元には夥(おびただ)しい血だまりと、性別が判断できない程に引き裂かれた肉片。
(もう少し早く現れたのが分かっていれば、この人の命を救えたかも知れぬのに…)
正恵は心の中で静かに悔いた。
全国を行脚していた彼の耳に『鬼が暴れている』との噂を耳にしたのは、つい先日訪れた村での事だった。
黒い体に灰色の目をした成仏できぬ鬼が、隣の村で人を襲っては喰らっていると言うのだ。
気になった正恵はその村に足を運び、そしてその十日後に噂の人鬼と遭遇したのだった。
《何もない…無だからこそ、我はこの手を血に染めるのだ》
「そうか、お前は寂しいのだな…」
答えを聞いた彼は、哀れむように呟いた。


