月隠れの庭

「ったく…しょうがねーヤツだな。見せてやるから、こっちに来いよ」

言うと、煙草をもみ消しながら笑顔を見せる。

その笑顔に尚人はホッとすると、再び縁側に戻り腰を下ろした。

すると、目の前に古い和紙を紐で綴った手記が差し出され、尚人は恐る恐るそれを受け取る。


「見てもいい?」


「ああ」


正恵の遠い記憶が書かれていると思うと、妙に心がザワザワと騒いだ。

本当は見てはいけないのではないかと、ページを開くのを躊躇っていると、

「見られて困るような事は書かれてないから、心配すんな」

心の中を見透かすように流星が笑った。