月隠れの庭

「蔵に行こうと思ってるよ。だって僕はその為に、ここへ来たんだから」

「いや、それは分かるんだけど…オレが言いたいのは《指輪》もないまま行くつもりなのかって事だよ」

「それはあるに越したことはないけど、全部壊れてしまったものは仕方ないし…」

尚人はのんびりと答えた。

「仕方ないし…じゃねーだろ!!頭悪いヤツだな、聞いて呆れる」

流星はフーッと大きなタメ息をつくと、


「あんな危険な場所に、お前1人で行かせられるかって。オレも同行するからな」


ビシッと鼻先に指を突きつけて宣言する。

だが、尚人はあっさりと首を横に振ってそれを拒否した。


「ダメだよ。人鬼は僕に来るよう言ってるんだ。第一、流星にこれ以上迷惑はかけたくない」


「そんな事を言ってる場合か?あそこは敷地内でも特別な所なんだ。ただでさえケガで片目が不自由なのに、人鬼が襲ってきたらどうすんだよ。他の霊だって、お前の霊感の強さに引き寄せられて来るかもしれないんだぜ!?そっちの方がオレにとっては迷惑だっての」


祓う方の身にもなってくれと、流星はボヤく。