月隠れの庭

「どうした!?」


慌てて流星が駆けつけると、そこには完全に血が止まっていない尚人と床に倒れている周子の姿があった。


「な、何やってんだ?」


てっきりまた何かよからぬモノでも現れたのかと思っていたので、流星は拍子抜けする。

「それが、いきなり周子ちゃんが洗面所の戸を開けたと思ったら、振り向いた僕の顔を見て気絶しちゃったんだよ…」


「ぶっ!!」


それを聞いて、流星は吹き出した。

確かに事情を知らずに彼の今の姿を見れば、誰だって驚くだろう。

特に周子にとって、尚人は『可愛い』存在なのだ。

その彼が振り向いたら流血していたとなれば、こういう事態になるのも分からなくはない。


「…何で笑うんだよ」


周子が持ってきてくれたタオルで顔を拭きながら、尚人はむくれた。

「いや、そん時のコイツの顔、見たかったなと思ってさ」


「悪趣味だね…流星は」


(普段よほど尻に敷かれているのかな…)


尚人はふとそんな事を思ったのだった。