月隠れの庭

薄ぼんやりと見えていたものの輪郭が、はっきりとしたその姿を現す。



「……………!?」



目の前にいたのは、右の頭部と顔が潰れ血を流した鬼、だった。

生々しく剥がれた血濡れの皮膚の、下から覗く白いモノは骨…。

恐怖に凍りついた尚人を見て、鬼は不自然な笑みを浮かべると、


《仲間のニオイがすると思って来たのだが…なぜ人間が鬼の目を持っている?》


嗄(しゃが)れた声で話し掛けてきた。


「鬼…………」


《こんな所で仲間の目を持つ人間に遭遇するとは、何とも嬉しい誤算よ…》


言って、長い舌でチロリと唇を舐める。


「…お前も人鬼なのか」


尚人は存在に違和感を感じながらも問うた。


《さぁな…我ら鬼は、簡単に名を明かさない。故に、その問いには答えられぬ》


そう答えた後、


《そう怯えずとも、お前の目を手に入れれば、すぐに立ち去ってやる》


ゆっくりと鬼は手を伸ばしてきた。