月隠れの庭

尚人は周子の所へ走った。



「周子ちゃん!!」



台所の戸を開けて中に踏み込むと、床に倒れている彼女の足がテーブルの向こうに見える。

特別何かが侵入した形跡はないが…。

尚人は駆け寄り、周子の体を抱き起こそうと傍らに跪く。

…と、急に視界が暗くなった。


「!!」


違う。

何かが目の前に立ちはだかり、それが落とした影だと気づいた時には遅かった。


ガッ!!


その瞬間、尚人は顔を殴られ、勢い後ろに吹き飛ばされる。

壁で思い切り背中を打った痛みと、殴られた衝撃で起き上がる事が出来なかった。


「う…」


短く声を発した尚人がこめかみの辺りを手で押さえると、ヌルリとした生暖かい感触が指先に伝わってくる。