月隠れの庭

「懐かしいね、昔と全然変わってない…」


玄関に1歩足を踏み入れた尚人は、ぐるり周囲を見回した。


「オレと親父の2人暮らしだからな。とりあえず古くても雨風が凌げればいいし、リフォームの必要性も感じないからそのままなんだ」

「昔の家は造りがしっかりしてるから、大切に住めば1世紀だって大丈夫だよ」


そう言って、男2人暮らしにしてはキレイに片付いているなと彼はふと思った。


流星は靴を脱ぐと、

「まぁ、上がれよ」

中へと招く。


「うん。お邪魔します。所でおじさんは?」

「木村さん家の法事に出かけてる」


「木村…あぁ、駄菓子屋のおばちゃん家ね」


久しぶり記憶に蘇るその名前に、尚人はグレーの瞳を更に細めた。


彼が靴を脱いで上がろうとしたその時、


ガラガラ、ガラ!!


玄関の引き戸が勢いよく開いて、1人の人物が姿を見せる。