月隠れの庭

       ☆

「夏緒さーん、まだ買い物するのか?」


両手一杯に荷物を持った流星は、楽しそうにウィンドウを覗き込んでいる彼女に呆れ混じりの声で尋ねる。


「ふふーん。さすがの若者も疲れてきたって感じ?」


イタズラな視線を背後の青年に向けると、仕方ないわねと彼女は笑った。

「じゃあ、お茶しよっか。流星もあたしに話しがあるみたいだし」



「……………何で分かるんだ?」



しばし沈黙の後、彼は面食らった表情で首を傾げる。


「分かるわよ、大切な家族の事だから。そんな事も気づかない夏緒さんだと思う?」


見くびってもらっては困ると、胸を張った。


「そうだな…昔からそうだったよな」


些細な事で落ち込んでいても、夏緒は気づく。

いつでも、どんな時でも。


適わないなと彼は薄く笑った。